2016 7 8

敬老の理事会は、今後のコミュニティー利益を最大限にするため運営上、プログラム上の戦略を作成するべく、詳細な計画作りに現在取り組んでいます。新ビジョンの構想は敬老の今後の長期計画作りの道しるべの役割を果たします。その核と成る要素を、電子版会報を通じてシリーズでお伝えしていきたいと思います。
敬老の新ビジョン構想 : 6 回シリーズの第 3 回目

サービスを一番必要とする人々にそれを提供することによって
最大インパクト達成への努力


敬老のサービスの対象は、ロサンゼルス、オレンジ、ベンチュラ各郡にお住まいの日系米国人・日本人の高齢者、その家族、そして介護提供者を含めておよそ7 万人以上に広がっています。  
 

しかし財政や職員などの資源には限りがあります。それゆえ敬老理事会は、サービスを一番必要とする人々にそれを提供する方法を優先させることによって、最大インパクトの達成を目指しています。我々のコミュニティーの最も脆弱な高齢者の特徴をご紹介します:

 
低所得。   統計数値は誤解を生みやすいものです。全体として日系米国人はアジア系米国人グループでは平均所得が一番高いとされていますが、日系米国人・日本人高齢者の中には所得や貯蓄に限りがあるとか、自宅だけが資産といった方々もおられます。医療やその他の緊急事態が生じると、バランスが崩れて財源がすぐに無くなってしまうことも多々あります。 
 
財源に限りのある高齢者には、基本的なニーズ(例えば、食事、住宅、医療など)が得られなくなるという危険性があります。在宅支援を得るための手立てもできないし、健康状況の悪化や体が動けなくなるといった深刻な状況の中で助けを得ることもできなくなってしまいます。自らを制するという文化的な規範と自尊心や責任感から、自らの弱い立場を隠してしまうと、外部の支援からの連絡を難しくさせることになります。
 
孤立。 孤立は、日系米国人・日本人高齢者を含めて、全ての高齢者が直面する課題でありながら、最も認識されていないものの一つでもあります。研究によると、定期的な社会対応の不足はうつ病、依存症、健康状態の深刻な低下、精神疾病や精神安定の喪失など、そして早死にもつながりうる、ということです。日系米国人・日本人高齢者を含めて高齢者は、以下のような場合に孤立することになりがちです:  
 
  • 歳を重ねるにつれ、配偶者、友人や親戚の死去に伴って、社会支援システムが無くなってしまう
  • 地理的に家族と遠く離れて暮らしており(例えば、地域外とか外国とか)、それゆえ、家族が介護提供とか精神的な支援といった役割を果たせない
  • 成人となっている子供と同居するために長く住んだ家から転居してしまい、新たな友人もできず、慣れ親しんだコミュニティーとのつながりも失くしてしまう
  • 施設に住んでいるが訪問者もいない
 
複数の健康状況。   特に75 歳以上の高齢者では、数種の薬を必要とするような様々な合併症を患っていることがよくあります。この複雑さが個人の財源に圧力をかけ、高レベルの身体的な支援を要することになります。このことは家族の介護提供者に影響を及ぼし、時間とともにニーズは悪化するばかりです。  

高齢者に対する難題や障壁を確認するための在宅モニタリングもほとんどないのが現状ですが、こうした難題や障壁としては、在宅時の安全性、介護提供者支援の適性、体が自由に動かないので栄養や健康介護が守れないといった問題が挙げられます。

記憶と認知障害。   精神能力に低下のある高齢者、特に認知症やアルツハイマー症を患っている高齢者は、一番ニーズの高い高齢者といえます。記憶喪失と認知障害は家族内の介護提供者に、身体的にも心理的にも大きなストレスとなります。家族の一員の状況が悪化するだけでなく、介護提供者も愛する家族の一員との関係においての認識喪失という感情面と戦うことになります。研究によると 、実際に、記憶や認知障害のある高齢者への支援を提供することからの家族内の介護提供者へのストレスは本人の健康状況の悪化や場合によっては早死に至ることもある、とのことです。
 
単一言語の日本人。 英語をあまりうまく話せない高齢者は英語での意思疎通がうまくできず、介護やサービスにアクセスするために厳しい障壁に直面することもあり得ます。
 
さらに、文化、インフラストラクチャー、そしてサービス受け渡しモデルに精通していることが社会への参加と機能に重要です。例えば、日本では健康や支援制度は政府の責任であり、全ての市民は適切で総合的な介護を受ける権利があります。米国では、制度への参加には煩雑な手続きが必要で、適格性の要件も複雑であり、標準型サービスではなく様々な局面でのサービスを選んで受けることになります。永住権を持っている人々でソーシャルセキュリティー(社会保障年金)とメディケア(公的高齢者医療保険)の資格を持つ人々も誤解や文化的な烙印のためにこの給付を受けていないこともあります。文化の違いというものは言語の障壁と同じくらい重要です。 
 
移民状況。 米国在住の日系人高齢者の多くは、長年、移民状況の難問と戦ってきました。例としては、サービスへの資格を証明する重要書類の喪失や、期限切れのビザがあります。こうした問題があると、その本人は社会サービスや医療保険が利用できずに制度外になって、早期に介入をするより健康状況が悪化してしまうことになります。移民状況に影響を及ぼすことなくこうした人々に入手可能な資源もあるのですが、文化的な基準からすると助けを求めることにはためらいがあり、移民状況や強制送還の可能性への懸念からさらに状況を複雑にしてしまいます。
 
高齢者中の最高齢者。   85 歳以上の高齢者グループは、高齢者人口の中でも最も急速に増えています。このグループは、若くて健康な高齢者よりも深刻で差し迫った課題に直面しています。課題としては、身体的 (例えば脆弱、移動性の喪失、複数かつ複雑な健康状況、末期関連課題、輸送手段がないことから生じる介護へのアクセスの制限)、精神健康 (例えば、精神能力喪失、配偶者・家族・友人の喪失による心痛やうつ病)、そして社会孤立や過怠といった状況が起こりやすいといったことがあります。
 
上述の脆弱性は重複して起こることが多いものです。敬老の理事会と職員は、我々のコミュニティーの健康と福利に積極的なインパクトを及ぼす日系米国人・日本人高齢者、その介護提供者、そしてその支援制度の最も高いニーズを支援する方法を作成中です。
 
敬老の新ビジョン構想は6 回シリーズの電子版会報で発表されます。来週発表の敬老新ビジョン構想の第4 回目では、 元気リビング : 福利の8 局面とその総合的な構想を我々の将来の仕事に活用・継続する方法、に焦点を当てます。

 
敬老の将来の方向性あるいは 3 本の核となるプログラムについてコメントやご意見のある場合には、 [email protected]  宛にお送りください。




敬老の電子版会報と出版物のバックナンバーは www.keiro.org/news/   にてご覧ください

引き続き皆様のご参加とご支援をお願いします。敬老の将来への強い決意については、ウェブサイトwww.keiro.org   をご覧ください。
敬老は、長期医療介護施設に焦点を当てることから、ロサンゼルス、オレンジ、ベンチュラ郡全体を通じて何千人という日系米国人・日本人高齢者と広く取り組み、支援を提供することへと対象範囲を拡大しています。敬老は、旧敬老施設の居住者向けのプログラムと共に、高齢者と介護提供者へのサービスを提供し、我々のコミュニティーの高齢者が自ら選ぶ方法で歳を重ねてゆく支援をします。  
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